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【コラム】タイヤの溝

大手消費者金融では現状、主力商品の金利は25%~29%程度のものが多く、実際の貸し出しもこの金利帯が主力となっている。聞いた話だが一部の大手では金利が18%を主力として段階的な低金利商品で営業しても健全な企業運営が可能だそうだ。

話が変わってタイヤメーカーの人間に昔、こんな話を聞いたことがある。一般的に乗用車に使用されるラジアルタイヤは排水用トレッド(タイヤの溝)が浅くなり、溝の奥のスリップサイン(危険信号)が見えてくるとそろそろタイヤ交換が必要となる。走行距離の目安で2万キロとか3万キロくらい。あるいは着用から2~3年程度で劣化交換を薦められている。しかし、某一流タイヤメーカーでは10万キロ走行しても磨り減らず、10年以上タイヤゴムの劣化を防止できて、さらにタイヤ性能のポイント、グリップ&静粛性を高次元に保てる商品を開発できる技術力があるとのことだった。
私はこの話を聞いたとき迷わず、「そのタイヤいつ発売ですか?」と尋ねた。しかし帰ってきた言葉はこうだった。「タイヤが磨り減らずに何年も交換されなくなったらタイヤメーカー自体が死んでしまう。技術はあっても売らないのが商売。消耗品であるタイヤに売り物が無くなると販売店もクルマ業界も大打撃やで」

事実、車用品販売店で市販されているタイヤは静粛性やロングライフ、高グリップ力など様々な性能特性を切り分けて商品化されている。もし、これらの特性が全て1種類の超高性能タイヤに凝縮されれば、購入者側にとってはありがたいことにちがいない。では個性や使途に方向性を持つユーザーにとってはどうか?車には趣味性の高いユーザーも多い。いくら車体に特徴があってもタイヤは商用車からスポーツカーまで皆同じ…では寂しいと思う。おそらく「ロングライフ静粛晴雨スーパーグリップタイヤ」が世の中に出回れば、趣向の方向性としてブランド名かトレッドパターンの違いでしかユーザーの選択肢がなくなるような気がする。タイヤの溝はそのトレッドパターンの違いで晴天の路面でグリップを高次元で維持し、かつ雨天でのタイヤ下の排水性を高めるためのものであり、全体からするとわずかだがタイヤ性能を左右する機能の一部でもある。サーキット走行を見込んだスポーツタイプのトレッドパターンや雨天高速走行の操舵感を安定させるようなパターンなどいくつかのタイプがある。左右非対称とかなんとなくおしゃれな模様に見えるようなものもあるが「ロングライフ静粛晴雨スーパーグリップタイヤ」になってしまっては模様の違いはあれども性能は同レベルとなる。そしてタイヤが磨り減り溝底のスリップサインを見ることは無くなるのかもしれない。タイヤの溝はそもそも安全の目安でもあるので常時、安全を保持できるというのは嬉しい限りだと思います。

話は戻りますが、消費者金融は現在の発展したインフラ等(技術力)を駆使して最低限度でどのくらいの金利を設定できるのか?100万円以上は15%、100万円未満は18%の年利で営業してもまだ幅広い利ざやが残る企業もあるはずだと思います。ユーザーとしては超低金利、長期返済期限、超低額支払などという究極の商品があれば嬉しいと思う。
近い将来、法改正により現状よりも低金利となり各種の規制(貸付件数規制など)が施された後は消費者金融のキャッシングユーザーに現在のような多重債務者が少なくなることだろうと思う。そして各社のキャッシングサービスにはなんら特徴がなくなり、ユーザーの選択肢は数少ないブランド名くらいしかなくなるのかもしれない。

しかし、法改正後の消費者金融の利用者の中にも、タイヤが過酷な使用で溝がなくなるように過度な金銭消費で借入先金融業者の与信枠がなくなり枠が足りなくなれば新しく別の金融業者で借りるといった感じの多重債務気味ユーザーが存在するはずだ。
金利を利息制限法の上限に合わせ、貸付件数の規制などを強化すれば現在のような債務超過の多重債務者はいなくなるのか?金利面だけ究極気味の商品を提供しても商品をとりまく環境が大幅に変化しない限りタイヤが片減りしても気づかないような人やバーストするまで気づかない人のような消費者金融のユーザー(債務超過気味になるユーザー)はきっと存在し続けると思う。まして年率18%の貸付が消費者金融の提供できる究極の商品だとも思えない。業界を取り巻く社会環境などが「本当の意味での消費者保護」を全力で追求しない限り究極のサービスを提供できる業種ではないのだと思う。今、取りざたされている消費者金融の各種問題は消費者金融業界だけに起因する問題ではない。消費者金融業者に対して規制を強化するだけで消費者教育や銀行を含む各種金融のありかたにも変化が伴わなければ、法改正後にも消費者にとってのスリップサイン(危険信号)が残るように思える。クルマ社会が究極を売らないように金融界もユーザーにとっての究極は絶対に提供しない。タイヤも金融商品もユーザーにとっての「安全」に究極は無いということだ。
2006/05/06