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【コラム】消費者信用団体生命保険について2

団信保険導入の意義
毎日新聞記事にはこのようなことも書かれていた。
消費者金融で多額の借金を抱え、苦悩の末自殺に至った女性がいた。その女性の家族がある多重債務者支援の集会に参加した際、自殺した女性が利用していた消費者金融の元社員は「客が自殺すると初めはショックだった…。でもだんだんと【あ、死んだ】という感覚に…。回収ノルマが済んでほっとする。」というふうに変化していったと語った。この元社員は話の後、泣き崩れて自殺した女性の家族に謝罪しつづけたそうだ。
本当に謝罪すべきは消費者金融業界の牽引者達(経営者や行政)ではないかと思う。業界現場に勤める従業員は厳しいノルマのために倫理観すら奪われていく。そして顧客は苦悩の末、選ぶべきではない「死」という解決手段を選んでしまう。このような現実をなぜ、「法改正」という段階に来て大きく報道されているのか?金融業者が自社の利益と成長を目指す競争社会の原理の中で、「信用貸借契約」というものの中に存在する人間の「本質」をゆがんだ形で生み出させたのかもしれない。信用+約束=守る(実行)という日本人気質、またそれを当然と思う日本人気質。しかし物理的に達成できない約束も必ず存在する。「過剰貸付」とよばれる行為が存在し、その解釈が統一されない限り達成できない約束(払えない債務)が存在してしまうのである。多重債務を原因とする自殺も過剰貸付が存在する限り消滅しない。それが日本人気質でもある。死亡診断書の提供を債権回収のための通常業務としてあたりまえにこなす消費者金融の従業員は少なからず倫理観に一般とのズレを生じさせているはずだ。
消費者金融はただでさえ儲けすぎなのに法改正の度に利益を増加させつづけた。法規制が繰り返されるのも他に類を見ない利ざやがあるからにちがいない。大手業者では顧客を「パイ」と呼ぶ経営者もいた。経営母体が大きくなれば、本来持ち味としていたサービス精神などが上手く表現しにくい環境にもなる。広く便利な商品として消費者に認知されたことで成長を続けてこられたキャッシング業界。広く新たな顧客層を上手く誘致しても、昔ながらの心有る業態を求める顧客も必ず混ざって存在する。団信保険による債権保全は単なる債権保全ではなく経営手法のひとつであると思える。金利の規制により、様々なコストパフォーマンスを改善し、成長を続けてきたキャッシング業界のユーザーは一昔前と比べて、若年化し、様々な趣向の人も含まれる事になっていったと思える。団信保険の存在を有意義に感じる顧客も少なくない。また全く、契約内容にそのような記載が含まれている事をしらない顧客も多い。今回の報道記事を見た閲覧者は消費者金融の倫理観に対して疑いがちになりかねない。しかし、こと団信保険の存在に焦点を当てれば、そのような商品を提供する保険業界と契約条件に取り入れてしまう消費者金融業界、無知な利用を継続するキャッシング利用者という保険に関わる3者が存在する。消費者信用団体保険という商品の存在意義と無担保信用貸借契約という商品の意義、そして許容を超えた借入を意思表示する消費者の存在。3点ともに倫理観を持って考え直す良い機会かもしれない。法や世論による一方通行な抑制はまた、よからぬ倫理観のねじれを生み出す恐れがある。リテールユーザーとリテール従業員との間に「流しても実らない涙」を流させるのは行政と経営者であることに違いない。今までの経営観念を継続することは消費者金融が末端に生きる人々に幸福を与えられる業でないことを明白にするだけではなかろうか。