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【コラム】与信基準と出資法上限金利から見る取立て問題

大手消費者金融といえば上場企業もあり収益や総資産額などをみると一流企業…。しかし何故、取り立てに関する報道が発生するような業務現場が存在してしまうのか?
昭和29年、利息制限法と出資法が制定された。利息制限法については制定後の改定などは無いが、出資法は不定期に上限を引き下げていく。以降昭和58年に40.004%へ平成12年に29.20%へと上限を引き下げられていった。その都度、違反罰則規定が施され、規制にあわせて業者は貸付や業務の内容をコントロールした。

イ) 昭和29年、それまでは金利の規制に対する罰則がなかったため市場の実情に鑑み上限を109.5%として制定された。
ロ) 昭和58年にはサラ金問題(過酷な取り立てなどが社会問題化)を起因として改定。
ハ) 平成12年には商工ローン問題(零細自営業者向けの商工ローン会社が保証人などに行った執拗な取り立てなどが問題化)に起因して改定に至った。
ニ) 平成18年、多重債務者問題(大手消費者金融業者の過大広告と中小消費者金融の競合によるヤミ金問題への関連性や一部大手業者の督促業務の社会問題化など)に起因して上限金利の引き下げが施行されようとしている。

それぞれの改正時に共通して問題化されたのが「取り立て」である。罰則などを強化し債務者が安全に利用できる市場であり金融業者が正常な競争をできる市場であることを目指した法改正だったのではないかと思う。しかし…
1. 上限金利が下がれば、業者は与信基準を締め付け債権不良化のリスクを抑える。
2. しかし、顧客の入り口を締め付けても企業としては増収を目指したい。
3. よって利用顧客の貸付単価(与信枠)を上げ、融資金額を高額にする市場傾向が発生する。
4. 利便性や金利低下をうたったキャンペーンが急増する。
5. 借入件数にこだわるせいか貸付金額には抑制をかけにくい。
6. 債務者は多くの件数を借入しなくても必要以上に供給がある状態は続いた。
7. 業者に規制をかけるばかりの法施行において消費者の教育や規制法などは無い状態であったために、債務者は既存の借入先で枠が不足すれば星の数ほどある中小零細金融業者へ枠不足の救いを求める。
8. 中小零細業者は他件数借入の債務者でも貸付をする
9. 大手業者が供給する与信枠を超過してしまえばほとんどの債務者は自力返済が困難な状態に近い。月々の返済に苦しむ機会も増える。
10. 債務者の負債状況を管理している金融業者からみれば自社での融資後、他社借入が増加すれば与信枠の締め付け、回収の徹底が施されるようになる。
11. 利ざやが減少する中で債務者の返済状況が悪くなれば当然、回収に躍起するはずである。
12. 企業の従業員である督促担当者の業績に対するプレッシャーが発生。
13. 規制に抵触する督促業務が行われる可能性が高くなる。

2度、3度と上限金利を引き下げながらも毎回のように回収業務に関する問題点が取りざたされる背景は業者への一方的規制が原因であるようにも考えられる。
上限金利低下⇒与信引き締め⇒利用枠の高額化⇒回収困難機会が増加⇒取り立て問題発生⇒関連法の見直しへ…
40年以上にわたって、同じ事を繰り返している。借りてはいけないという消費者に対する法規制や借りすぎて返済できなければ罰則があるような法規制が無い限りこのようないたちごっこは続くのかもしれない。あるいは消費者金融が「正業」として他業種と比較しても遜色ない収益率に収まれば業務の全てにおいても正常として評価される日が訪れるのかもしれない。