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ファクタリングとは – 資金調達の新しい選択肢

ファクタリングとは

事業を営んでいると、売掛金の入金を待つ間に資金繰りが厳しくなることがあります。そんな時、売掛金を早期に現金化できる「ファクタリング」が注目を集めています。融資とは異なる、新しい資金調達の選択肢について詳しくご説明します。

ファクタリングとは何か

ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権(請求書など)をファクタリング会社に売却して、支払期日前に現金化する資金調達方法です。

従来の銀行融資とは異なり、借り入れではなく「売掛債権の売買」という点が大きな特徴です。そのため、借入金として計上されず、財務状況への影響も異なります。

ファクタリングの基本的な流れ

  1. 商品やサービスを提供し、取引先に請求書を発行
  2. その請求書(売掛債権)をファクタリング会社に売却
  3. 手数料を差し引いた金額を受け取る
  4. 支払期日に取引先から代金を回収(契約形態により異なる)

ファクタリングと借り入れの違い

多くの方が気になるのが、融資や借り入れとの違いではないでしょうか。両者は似て非なるもので、明確な違いがあります。

項目ファクタリング銀行融資・借り入れ
性質売掛債権の売買金銭の貸付
負債の扱い負債に計上されない負債として計上される
審査の重点売掛先の信用力自社の財務状況・信用力
担保・保証人原則不要必要な場合が多い
返済義務なし(売却のため)あり(元金+利息)
調達スピード最短即日~数日数週間~1ヶ月程度
赤字決算時利用可能審査通過が困難

この表から分かるポイント

ファクタリングの最大の特徴は、自社の財務状況が悪くても利用できる可能性が高いという点です。審査で重視されるのは「売掛先の信用力」であり、自社が赤字決算であっても、取引先が信頼できる企業であれば資金調達が可能です。

また、借り入れではないため返済の必要がなく、利息も発生しません。ただし、ファクタリング会社への手数料は必要となります。

二者間ファクタリングと三者間ファクタリング

ファクタリングには大きく分けて2つの契約形態があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。

二者間ファクタリング

利用企業とファクタリング会社の2社間で契約を結ぶ方式です。

メリットデメリット
取引先に知られずに利用できる手数料が高め(8~18%程度)
手続きが簡単でスピーディ未回収リスクが高いため審査が厳しめ
最短即日での資金化が可能
取引関係への影響がない

二者間ファクタリングの仕組み

  1. 売掛債権をファクタリング会社に売却
  2. 手数料を差し引いた金額が入金される
  3. 支払期日に取引先から売掛金を受け取る
  4. その金額をファクタリング会社に支払う

二者間ファクタリングは、取引先に資金繰りの状況を知られたくない場合に適しています。ただし、利用者が一度売掛金を受け取ってからファクタリング会社に支払う流れとなるため、未回収リスクが高く、その分手数料も高めに設定されています。

三者間ファクタリング

利用企業、ファクタリング会社、取引先(売掛先)の3社間で契約を結ぶ方式です。

メリットデメリット
手数料が安い(2~9%程度)取引先の承諾が必要
未回収リスクが低い資金繰りの状況が取引先に伝わる
審査が通りやすい手続きに時間がかかる
取引先との関係に影響する可能性

三者間ファクタリングの仕組み

  1. 取引先にファクタリング利用の承諾を得る
  2. 売掛債権をファクタリング会社に売却
  3. 手数料を差し引いた金額が入金される
  4. 支払期日に取引先がファクタリング会社へ直接支払う

三者間ファクタリングは、取引先がファクタリング会社へ直接支払うため、未回収リスクが低く手数料を抑えられます。長期的な取引関係がある信頼できる取引先であれば、三者間ファクタリングの方がコスト面で有利です。

ファクタリングの手数料

ファクタリングを利用する際、手数料は重要な判断材料となります。手数料の相場を知っておくことで、適正な取引ができるようになります。

契約形態別の手数料相場

契約形態手数料相場
二者間ファクタリング8~18%程度
三者間ファクタリング2~9%程度

手数料の具体例

例えば、100万円の売掛債権を二者間ファクタリング(手数料10%)で現金化する場合:

  • 売掛債権: 100万円
  • 手数料: 10万円(10%)
  • 実際の入金額: 90万円

このように、手数料を差し引いた金額が実際に手元に入る資金となります。

手数料を決める主な要因

ファクタリングの手数料は一律ではなく、以下の要因によって変動します。

1. 売掛先の信用力 上場企業や公的機関など、信用度の高い売掛先であれば手数料は低くなります。反対に、経営状況が不安定な売掛先の場合は手数料が高くなる傾向があります。

2. 売掛金の金額 一般的に、買取金額が大きいほど手数料率は低くなります。少額の場合は事務コストの関係で手数料率が高くなることがあります。

3. 支払期日までの期間 支払期日までの期間が長いほど、未回収リスクが高まるため手数料も上がります。支払期日が2ヶ月以内の売掛金が一般的です。

4. 取引実績 初めて利用する場合と比べ、過去に利用実績があり問題なく完了している場合は、手数料が下がる可能性があります。

5. 契約形態 前述の通り、二者間と三者間では手数料に大きな差があります。

手数料を抑えるためのポイント

  1. 複数社で見積もりを取る ファクタリング会社によって手数料は異なります。複数社を比較することで、より有利な条件を見つけられます。
  2. 信用力の高い売掛債権を選ぶ 複数の売掛債権がある場合、大手企業や公的機関との取引分を優先的に売却すると手数料を抑えられます。
  3. 支払期日が近い売掛債権を選ぶ 支払期日までの期間が短いほど、リスクが低く手数料も安くなります。
  4. 三者間ファクタリングを検討する 取引先との関係が良好であれば、手数料が大幅に安い三者間ファクタリングを選択肢に入れましょう。
  5. 継続的な利用 同じファクタリング会社を継続して利用することで、信頼関係が構築され手数料の優遇を受けられる可能性があります。

ファクタリングの審査

ファクタリングを利用するには審査が必要です。ただし、銀行融資とは審査のポイントが大きく異なります。

審査で重視されるポイント

1. 売掛先の信用力(最重要) 審査で最も重視されるのは、売掛先の信用力です。上場企業、大手企業、公的機関などとの取引であれば、審査に通りやすくなります。

2. 取引の実在性 架空の請求書ではないか、実際に商取引が行われているかが確認されます。取引の継続性や履歴が重要です。

3. 売掛債権の内容

  • 支払期日が2ヶ月以内であること
  • 支払期日を過ぎていない正常な債権であること
  • 債権譲渡禁止特約がついていないこと

4. 利用者の誠実性 自社の財務状況は融資ほど重視されませんが、過去にファクタリングでトラブルを起こしていないか、契約内容を正直に伝えているかなどが確認されます。

審査通過率を上げるコツ

多くのファクタリング会社では、審査通過率を公開しています。優良な会社では90%以上の通過率を誇るところもあります。

審査に通りやすくするための方法

  1. 信用度の高い売掛先を選ぶ 複数の売掛債権がある場合、まずは信用度の高い取引先の債権から利用しましょう。
  2. 支払期日が近い債権を選ぶ 支払期日までの期間が短い方が審査に通りやすくなります。
  3. 必要書類を正確に準備する 請求書、契約書、取引履歴など、取引の実態を証明できる書類をしっかり準備しましょう。
  4. 取引実績のある売掛先を選ぶ 初回取引よりも、継続的な取引関係がある売掛先の方が審査に有利です。
  5. オンライン完結型を利用する AI審査を導入しているオンライン完結型のファクタリング会社は、審査基準が明確で通過率が高い傾向があります。

審査に落ちやすいケース

  • 売掛先の経営状況が悪化している
  • 支払期日が3ヶ月以上先である
  • 取引実績が少ない、または初回取引
  • 過去に支払遅延がある
  • 債権譲渡禁止特約がついている
  • 架空債権の疑いがある

ファクタリングのメリット

1. スピーディな資金調達

最大のメリットは、資金調達までのスピードです。オンライン完結型であれば、最短2時間で入金されるケースもあります。平均的にも即日~3日程度で資金化が可能です。

銀行融資の場合、審査に数週間から1ヶ月程度かかることを考えると、緊急の資金需要に対応できるのは大きな強みです。

2. 財務状況を問わない

赤字決算、債務超過、税金滞納があっても利用できる可能性があります。審査の重点が売掛先の信用力にあるためです。

3. 負債にならない

借り入れではなく売掛債権の売却であるため、貸借対照表上の負債には計上されません。財務指標の悪化を避けられます。

4. 担保・保証人不要

原則として担保や保証人を用意する必要がありません。手続きが簡素化されます。

5. 売掛金の未回収リスクを回避

多くのファクタリング契約では、売掛先が倒産して売掛金が回収できなくなった場合でも、利用者が責任を負わない契約(ノンリコース)となっています。

6. 資金繰りの改善

売掛金の回収サイトが長い業種(建設業など)では、ファクタリングを活用することで資金繰りを大幅に改善できます。

ファクタリングのデメリットと注意点

1. 手数料がかかる

融資の金利と比べると、ファクタリングの手数料は高めです。頻繁に利用すると、手数料負担が重くなる可能性があります。

2. 調達できる金額に上限がある

ファクタリングで調達できる金額は、保有している売掛債権の範囲内です。売掛債権がない、または少額の場合は、まとまった資金調達が難しくなります。

3. 売掛先との関係への影響(三者間の場合)

三者間ファクタリングでは、取引先にファクタリング利用が知られるため、資金繰りに不安があると思われる可能性があります。

4. 悪質業者の存在

ファクタリング業界には、まだ法規制が十分でない部分があり、高額な手数料を請求する悪質業者も存在します。

悪質業者を見分けるポイント

  • 手数料が相場(二者間:8~18%、三者間:2~9%)を大きく超えている
  • 契約書の作成を嫌がる、または内容が不明瞭
  • 会社情報が明確でない(所在地、代表者名など)
  • 「ファクタリング」と称しながら実質的には貸付を行っている
  • 分割払いを提案してくる(ファクタリングは一括取引が原則)

5. 手数料に消費税がかかることはない

ファクタリングは非課税取引です。手数料に消費税を加算している業者は違法の可能性があります。

ファクタリングの活用が向いている場面

こんな時にファクタリングを検討しましょう

1. 急な資金需要が発生した時

  • 従業員の給与支払いが迫っている
  • 仕入れ先への支払いが間に合わない
  • 急な設備投資が必要になった

2. 銀行融資が難しい時

  • 赤字決算や債務超過で融資審査が通らない
  • 創業間もないため融資実績がない
  • 過去に延滞があり信用情報に問題がある

3. 売掛金の回収サイトが長い時

  • 建設業で請負工事の入金が数ヶ月先
  • 介護・医療業界で報酬入金まで2ヶ月かかる
  • 季節変動が大きい業種で入金までの期間が長い

4. 一時的な資金繰り改善が必要な時

  • 繁忙期前の仕入れ資金が必要
  • 新規事業立ち上げの初期資金が必要
  • ボーナス支給時期の資金確保

5. 取引先の倒産リスクをヘッジしたい時

  • 売掛先の経営状況に不安がある
  • 大口取引先への依存度が高い
  • リスク分散を図りたい

ファクタリング市場の現状と今後

急成長を続けるファクタリング市場

日本のファクタリング市場は近年急速に拡大しており、2019年時点で約7.5兆円規模、2024年時点では約1,835億米ドル(日本円換算)に達しています。2033年には3,617億米ドルに達すると予測されており、年平均成長率7.26%で成長を続ける見込みです。

世界的に見ても、ファクタリング市場は拡大傾向にあり、2023年には3兆6,105億米ドルの規模に成長しています。

市場拡大の背景

1. 政府による後押し 中小企業庁は「売掛債権の利用促進」を国の施策として掲げており、ファクタリングの普及を積極的に支援しています。

2. 手形取引の減少 2026年には紙の手形が廃止される方針が決定されており、手形割引を利用していた企業がファクタリングへ移行する流れが加速しています。

3. オンライン化の進展 オンライン完結型のファクタリングサービスが普及し、どこにいても利用できる利便性が向上しています。AI審査の導入により、審査時間も大幅に短縮されています。

4. 金利上昇の影響 企業への貸出金利が上昇する中、金利負担を避けたい企業がファクタリングを選択する傾向が強まっています。

5. 中小企業の資金調達手段の多様化 融資だけに頼らない、多様な資金調達手段が求められる中、ファクタリングが重要な選択肢として認識されるようになっています。

今後の展望

1. さらなる市場拡大 中小企業の資金繰り改善ニーズは今後も継続すると予想され、ファクタリング市場は引き続き成長が見込まれます。

2. テクノロジーの進化 AI・機械学習による審査の自動化、ブロックチェーン技術の活用などにより、より迅速で透明性の高いサービスが提供されるようになるでしょう。

3. 法規制の整備 現在は法規制が十分でない部分もありますが、今後は利用者保護のための法整備が進むと予想されます。

4. 認知度の向上 現在、ファクタリングの認知度は約22%程度ですが、利用者の増加とともに認知度も向上していくでしょう。

まとめ:ファクタリングを賢く活用するために

ファクタリングは、従来の融資とは異なる新しい資金調達手段として、多くの企業に利用されています。特に中小企業や個人事業主にとって、スピーディで柔軟な資金調達方法として大きなメリットがあります。

ファクタリング活用のポイント

  1. 自社の状況に合った契約形態を選ぶ
    • 急ぎで取引先に知られたくない → 二者間ファクタリング
    • 手数料を抑えたい、取引先の理解が得られる → 三者間ファクタリング
  2. 複数のファクタリング会社を比較する
    • 手数料、審査基準、入金スピードを比較
    • 実績や評判を確認
  3. 適正な手数料か確認する
    • 二者間:8~18%、三者間:2~9%が相場
    • 相場を大きく超える場合は注意
  4. 信頼できる売掛債権から利用する
    • 信用度の高い売掛先を優先
    • 支払期日が近い債権を選択
  5. 計画的に利用する
    • 頻繁な利用は手数料負担が重くなる
    • 一時的な資金繰り改善の手段として活用
  6. 悪質業者に注意する
    • 会社情報が明確か確認
    • 契約内容をしっかり確認
    • 不明な費用がないか確認

ファクタリングは、適切に活用すれば企業の資金繰りを大きく改善できる有効な手段です。自社の状況をしっかり把握し、信頼できるファクタリング会社を選んで、賢く活用していきましょう。

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