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座談会これまでの中間整理へ向けてB


宇都宮弁護士の提言
1 法改正の目的
このたびの金利規制及び貸金業制度に関する法改正の目的は、多重債務問題の解決にある。消費者向無担保貸金業者の貸付金残高は11兆6720億円*1、サラ金の利用者は約2,200万人にものぼる*2。リボルビング方式の「カード・キャッシング」が浸透し、サラ金のATMはコンビニエンス・ストアにまで設置され、24時間・年中無休で稼働している。不必要な規制のせいで市場の発達が遅れているのではない。市場は十分に拡大したが、そこで生じている弊害を除去することが目下の課題である。多重債務者は150万人とも200万人とも言われ、年間約20万人が自己破産をしている*3。2000年から2004年まで5年間の累計で約96万8000人である。経済苦・生活苦による自殺者は、年間約8千人である*4。同じ5年間の累計で約3万8000人であり、一つの市や町の人口にも匹敵する人数である。多重債務問題が犯罪の発生や家庭崩壊の原因となることも多い。猶予のならない、深刻な事態である。今回の法改正では、多重債務問題の解決を最優先の目的とすべきである。
2 多重債務問題の発生原因
(1)消費者に対する貸付金利は、利息制限法と出資法とが定める二つの上限金利の中間、いわゆる「グレーゾーン」金利帯で行われている。大手5社(アコム、武富士、アイフル、プロミス、三洋信販)においても金利帯別残高では「25%以上29.2%以下」が71.5%を占める最多分布帯となっている。
(2)借り手においては、この金利負担の重さが自転車操業に陥る危険をもたらしている。消費者金融利用者の平均借入残高は145万円、平均利用社数は3.3社である。3社から50万円ずつ、合計150万円を年利29.2%で借り入れて5年間の元利均等払で支払う場合、毎月の返済額は約4万8000円とな
。これを超える返済余力を持つのは年収500万円以上の世帯であるが、大手5社の利用者でも「年収500万円以下」が75.4%を占める。返済余力を超える債務を負担すると、生活費を切り詰めてもなお足りない場合や、急な出費があった場合などに、返済のための借入れを行うようになる。国民生活センターの調査によれば、「借金返済」を理由とする借り入れが「返済が困難になった時期」に増加し、借入総額・件数が多くなるほど借金返済を理由とする借入れの比率が高い、という事実が明らかされている。
(3)中小零細企業の財務諸表の平均値を用いたモデル企業分析によると、損益分岐点借入利率は11〜13%である*6。年利20%を超えるような借入れを行うと、中小零細事業者においても、返済のための借入を繰り返すことになる危険がある。
(4)さらに金利が高ければ高いほど、自転車操業によって負債が膨張する程度も大きい。年利29.2%で100万円を借り入れ、毎月の利息を借入金によって支払うことを繰り返した場合、6年後の債務額は564万6772円にも達する。
(5)貸し手においては、貸付金利が高いために、調達金利の何倍もの貸倒費用を組み込みつつ高い収益をあげることが可能になっている*8。1業者による1人当たりの貸付残高は増加傾向にある*9。信用情報機関に加盟している貸金業者が、1人の債務者に対して7〜10社で貸付けを継続するということが、現に行われている。高金利がリスクを吸収するために、自転車操業中の多重債務者に貸し込む構造になっている。
こうして、大量の多重債務者が発生しているのである。
(6)借り手の生活や事業を破壊するような金利では、「健全な金融仲介機能」を果たすことができない。「返済のための借入れ」を助長し「供給が需要を作り出す」という不健全な・水膨れした市場構造を、健全化しなければならない。

(4)「ヤミ金融への流出論」について
上限金利引下げに反対する理由として「上限金利を引き下げたからヤミ金融が増えた」と述べる者もいる。しかし、事実は違っている。山口組五菱会のヤミ金融事件で、「ヤミ金融の帝王」は昭和63年頃からヤミ金融業を行い、平成8年から同10年にかけて配下の者にヤミ金店舗を営ませていき、平成11年には大規模なヤミ金融組織を形成していた。いずれも、上限金利が年29.2%にまで引き下げられた平成12年の改正出資法施行よりも前のことである。ヤミ金融の被害者は、破産者と多重債務者の二通りである。サラ金が破産者に貸付けをしないことは、上限金利引下げの前後を問わず変わりがない。一方、多重債務者は必ずしも「どこからも借りられない人」ではない。4件以上の債務を抱えた状態でもサラ金からの借入れは可能である*4 のが実状だが、ヤミ金融からの勧誘の方がしばしば先行しているのである。ヤミ金融は「名簿屋」から入手したリストを利用し、ダイレクトメールや電話によって、個々の多重債務者に対して直接勧誘の手を伸ばすからである。「上限金利引下げにより、どこからも借りられなくなった人がヤミ金融へ流出した」ということではない。

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